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ソシャゲしかしないニートの話

【映画】Fukushima 50を見ました

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映画「Fukushima 50」公式サイト|大ヒット上映中!

 

SNS等で話題沸騰のFukushima 50見てきました。

 

まず、序盤はすごく良かったです。あの日の福島第一原発での出来事を描くにあたって、普通のエンタメ作品ならやるであろう「平和だった頃の福島」をすっ飛ばして開始数十秒でいきなり震災発生。多くの職員が慌てながらもマニュアル通りに対応する中、間髪をいれず津波到来。全電源消失。マニュアルなき事態へ…と畳み掛けるような導入はパニックものとしての完成度が非常に高くハラハラさせられました。

 

 ただ中盤から原発内に入ることも叶わなくなり閉塞した室内のシーンが続くためテンポも遅れてきます。その代わりになにが入ってくるのかと言うと「ウェット」な回想なんですね。このエピソード系がどれもまぁどこかで見たようなものばかり。家族愛を見せたいなら結婚指輪を映すだけでも十分では。また劇中でチェルノブイリ東海村のような過去の原発絡みの事故が話題に上がるタイミングでもその都度当時の映像や新聞記事みたいなものを挟んでくるので刻一刻と時間のすぎていく緊迫感を阻害しているようにも感じました。

 

 事実だから仕方ないといえばそれまでなんですけど、終盤にかけてメインとなる2号機の収束もまさかのなぜ収まったのかわからないという締め方でどこか肩透かし。そもそも一つの作品としてみたときに内容的にも映像的にも面白い要素が序盤に固まってしまってるのがいびつだなと。でも、どこか諦めたような雰囲気も匂わせながら吉田所長が故郷の歌を歌うシーンや、伊崎さんと所長のいろいろな過去を想像させるトイレでの会話シーンなど要所要所にいい部分はありました。

 

 明確にアウトだなと感じたのはラストのテロップ。あたかも事態がすべて解決したかのような美しい桜をバックに「2020年のオリンピックは復興オリンピックと名付けられ~」って流れるんですよ。そこはちゃんと当時どれだけの死者数が出たのかや、今なお残る帰宅困難区域、現在もなお事態の収束に向けて働いている方々を伝えて欲しい。

 

 全体的にエンタメともドキュメンタリーともつかず、またどういった層にこの映画をアプローチしたいのかというターゲットが見えない部分に中途半端さを感じてしまいました。事故からまだたった9年ですしいろいろな配慮の結果なんでしょうけれども、もっと吹っ切れた作品を撮ってほしかったです。