【映画】独断と偏見の2020年映画ベスト10【邦画】
サボりにサボってようやく書くことにしました。
昨年同様、順不同、主観128%です。
ベスト10
劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明
劇場版メイドインアビス深き魂の黎明見ました!これは想像以上の大傑作。連載時ワクワクしながら読んでいたときのあの感動がそのまま襲ってくるような文句の付けようのない映像化!!!憧れも絶望も度し難も全部全部詰まってるから全人類見てくれ。共に夜明けを見てくれ。もうそれしか言えない。 pic.twitter.com/APTU5Em8lH
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年1月17日
個人的にはやはり外せず。
かつて無いアニメ豊作の年でありヴァイオレット・エヴァーガーデンやジョゼと虎と魚たちを押しのけてメイドインアビスが入った理由とは……ファンだからですね。今までと打って変わった5層の寒々とした景色やイドフロントの無骨さ、そして何より圧倒的存在感のボンドルド。エンドクレジットのForever Lostがこれまた素晴らしくてですね。
前田建設ファンタジー営業部見ました。自他共に認める地味な土木建設をテーマにこれだけ楽しく熱く夢いっぱいな映画が出来るだなんて!ひとりのバカなオタクの荒唐無稽な企画に大の大人達が本気で取り組むことで見えてくる仕事のやりがいや誇り。ニートの僕には余りにも眩しすぎた pic.twitter.com/Rs1R41DLl3
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年2月3日
とにかく熱くて笑えて楽しい作品なんですけれども、こちらもエンドクレジットの映像が印象的。You Tubeにもアップされているんですけれども、飽きさせない作りの凝った映像になっているんですね。それだけなら割とよくある演出なんですけど主要キャストやメインスタッフのみならず制作スタッフの最後の一人までこの凝った映像が徹底されているのがすごく良いんです。スタッフの誰一人として欠かすことの出来ない存在なんだぜっていうのが作品テーマともマッチしていて、「あぁ、いい映画を見たなぁ」と満足感を感じられました。
初恋
初恋見ました。なんだこの傑作は!?クズで汚らしくて人間臭い強烈なキャラクターがあとからあとから出てくる。監督なにかキメてらっしゃる?特にベッキーと染谷将太の演技がキレッキレで最高だった。主演ふたりが電車内でイヤホン分け合って音楽を聞くシーンのいじらしさが素敵 pic.twitter.com/w4P86P5yT7
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年3月16日
ベッキーと染谷将太です。この映画はベッキーと染谷将太なしには語れません。
インパクト抜群の人物造形と遠慮なしのバイオレンス、かと思えば電車での逃避シーンのようないぢましくも切ない場面など取り上げたい要素は数限りなくありますが、もう何をおいてもこの二人です。失礼ながらここまでベッキーがハマると思ってなかったし、染谷将太も序盤のカマセっぽさが嘘のような後半の覚醒が最高でした。
この俳優はすげーぞと密かに思っていたら麒麟の信長役で一気に有名になりましたね。いいことだ。
許された子どもたち
許された子どもたちを見ました。主人公ながら自らの心情をほとんど語らない、語るすべを持たないキラの一見支離滅裂な行動が「そう簡単に分かった気にさせないぞ」というメッセージを感じた。水音の混じる生々しい打撃音やひどく示唆的な食事シーンなんかも上手い。もう一度見たくないという意味で傑作 pic.twitter.com/45dvJT76NS
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年7月18日
短文感想でも述べてますがこの映画の縁の下の力持ち的存在は音響スタッフの方々ではないでしょうか。アクション映画のような「ドカッ」「バキッ」といった小地味良い音ではない「ドチュ」「ズチュ」というような暴打音はスクリーンを超えて真に迫ってくる物がありましたし、否でも応でも作中の薄暗い絶望に取り込まれていく感覚がしました。
ストーリー的にもラストはそう締めるかと。本当に最後までスッキリさせてくれない…
アルプススタンドのはしの方
アルプススタンドのはしの方見ました。ノーマークだったけど無茶苦茶良かった!!!やりきれない思いのままちゅうぶらりんな気持ちの描写の解像度とそれを魅せる会話が上手い!!映像的にもそれぞれ最初は距離のあった4人が最後は並んで応援をする姿に感動。いい映画を見たなぁ pic.twitter.com/eeaADwbMKN
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年7月31日
イオンシネマのフリーパスでジブリの上映の隙間にやってたから見たんですが、鑑賞後からもう一回見たい!と即座に思った映画はなかなかないです。実際ゲド戦記やめて2回目見ましたし
ワンシチュエーションの会話劇でありながらも緻密に構成された脚本にもう釘付けです。映画自体は「はしの方」がメインではあるんですが、だからといってスタンドの中心にいる人達のことも忘れないひっそりと、しかし効果的な演出が見事に自分に刺さりました。
青くて痛くて脆い
青くて痛くて脆い見ました。あーーー気持ち悪い!秋好の第一印象も、後半にかけての楓も、そして何より見たあとの自分の感情が無茶苦茶気持ち悪い。いろんな気持ち悪い要素で構成されてて見ていてメンタルがガリガリと削られて辛かった。もっかい見たい。でも5年後くらいに pic.twitter.com/KgFbQtAnwx
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年9月3日
アルプススタンドのはしの方が青春の素晴らしい部分だとしたら、こちらはその裏返しとなる醜い部分とでもいいましょうか。僕みたいに大学生活をソシャゲと惰眠とオナニーのオカズ探しに浪費した人間には非常に辛いものがある作品です。あーいやだいやだ。
また吉沢亮が絶妙に気持ち悪いんですよね。顔は整っているのに髪型服装や行動が見事に「陰キャ」のそれで役者だなぁと。
事故物件 怖い間取り
事故物件 怖い間取り見ました。最後まではまっとうにホラーしててずっと薄目で見てたんだけどラストで突然ギャグか?みたいな内容に。だって真っ先に連想したのハリーポッターだぞ?幽霊たちの全方位型STGみたいなシーンで思わず笑ってしまった。ヤマメのナチュラルクズっぷりもなかなかでいい娯楽作品 pic.twitter.com/xaGFk8UDZe
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年9月3日
ハリーポッターと秘密の事故物件
か弱い女の子なので普段ホラーは見ないんですが、事故物件ではきちんと予兆があるので安心して楽しめました(ホラーとは) こちらも亀梨和也のビジュアルが絶妙でちっとも格好良くないんですよね。これベスト10に選ぶか!?みたいな葛藤はあったんですが、ラストの展開も相まって愛すべきポンコツ映画みたいな枠ということでひとつ。
はりぼて
はりぼて見ました。地方議会に蔓延する不正会計の真実というテーマをここまで軽妙に見せるのはセンスだなぁ。不正は一切ありませんと言った次のカットで土下座謝罪の疾走感は編集の妙。繰り返されるとぼけたテーマ曲も良かった。広島もね、今まさにって感じなんで笑えるけど笑えないっすね。 pic.twitter.com/g545HpQSrT
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年10月21日
ちょうど広島で河井議員の不正問題が取り沙汰されていたタイミングで見た作品ということもあって印象的だったので選出。
マスメディアというものの本質を描いているドキュメンタリーだけにもっとヒロイックな構成にも出来ただろうに、ここまでゆるい演出で見せてくるのは新鮮でした。相次ぐ不正への怒りを別の感情として消化できるのは映画の強みですねぇ。
魔女見習いをさがして
魔女見習いをさがしてみました。ちょっと詰め込み過ぎかなって気もするけど、それ以上にコミカルで楽しくて前向きになれる映画だった。いわゆる続編といった形式ではないのにファンサービスにも溢れてて嬉しい。ただ見てるとき「これ同じようなことやってる人TLでよく見るな」とか余計なことも思った pic.twitter.com/zaCCZCblUj
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年12月1日
コレ何度も言われてると思いますけどおジャ魔女カーニバルをああやって使うの反則じゃないですか?
おジャ魔女どれみの系譜でありながらもおジャ魔女を見て育った女性たちが主人公というメタ的な構造に驚き、またそれがうまく機能していて感心しました。
広島県民としては百田夏菜子の尾道弁(広島市の方とはまた微妙にイントネーションが違うんです)が非常にナチュラルだったのも良かったですね。この世界の片隅には祖母の世代の訛り方だったんですけどこちらは親世代くらいの身近さで。
朝が来る
朝が来る見ました。子供の親権を巡るドラマチックな内容を想像していたけれど、いい意味で抑制的な、それでいて非常に真摯な作品だった。個人的にはひかりの6年間かけた容姿の変化が丁寧でとても良かった。美術さんかスタイリストさんが上手いのかな pic.twitter.com/EW7Jrsk1Il
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年12月17日
エンドクレジット後のあのセリフが全てです。
ぶっちゃけると鑑賞中は丁寧な作りだとは思いつつも、どこか軸の見えないふわふわした感じでいたんですけど、主題歌のアサトヒカリがそれらすべてをギュッとまとめ上げてそして止めにラストのセリフですよ。冗長じゃないかとすら思えた丁寧さがすべて一つ一つ愛おしく拾い上げられました。
蒔田彩珠さんは星の子でも主人公の姉の役をやっていて上手いなと思っていたので今後に注目したいと思います。
特別枠
もののけ姫見ました。何度見たか分からない映画だけれどもまずアシタカせっ記の低音で痺れた。たたら場のふいごのきしむ音や鏑矢の抜け、こんなにも豊かな音響だったとは… あと、今回初めて気づいたけれどハンセン病の人とトキが肩を並べて食事をする場面あれよく考えるとすごく重要だったんだなって pic.twitter.com/DTLOEmNOA5
— 日比野ちりめん (@CRMN_celeron) 2020年6月30日
旧作なんですけれどどうしても語りたくて特別枠ということで選出。
といってもTwitterでの感想に集約されているんですがやはり映画は映画館で見てこそ真価を発揮するものなのだと再確認することが出来た作品になりました。セリフを諳んじれるほど見た作品だけに、音響が違うだけでこれほどまでに世界の「深度」が違うものかと。
旧作公開はコロナ禍での新作公開中止が相次ぐ中での苦肉の策ではあったんでしょうが劇場で見ることの出来なかった作品を鑑賞できたのは非常に嬉しかったです。
総括
なんか毎年言ってるような気もしますが豊作でしたね。こうして見返してみるとアルプススタンドのはしの方や朝が来るなんかの人の苦悩も喜びもまるっとすくい上げてくれるような作品が好きなんだなと思いました。選出した作品の他にも演出面で頭一つ抜けていたヴァイオレット・エヴァーガーデンや映像に心奪われたスパイの妻などもあり楽しい1年でした。
鑑賞環境の話としてはやはり夏場に実施されたイオンシネマのワンデーフリーパスの影響が大きいかと。普段なら絶対に見ないような作品だからこそどこに自分にぶっ刺さる作品が潜んでいるのか分からないわけで、そういった作品の鑑賞へのハードルを下げまくってくれたことに感謝しています。だから定期的にやって
洋画のベストの方も気が向いたら書きます。
2020年邦画鑑賞本数 52作(うち旧作4本)