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【映画】初恋を見ました

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映画『初恋』オフィシャルサイト

 

公開から結構経ってしまいましたが初恋を見てきました。

 

 とんでもない傑作でしたね。昭和か?って思うようなヤクザものと、平成か?って思うような余命ものを組み合わせてこんなにも面白い映画ができるだなんて。ロマンス、ホラー、コメディ、アクション、バイオレンスと色んなジャンルの要素をごちゃまぜにしていて、そのどれもが強烈な印象を残すのに見終わったあとにはいい作品だったなと素直に思い返せる絶妙なバランスでした。これが三池監督かぁ

 

 無気力でボクシングしかないのに余命宣告によって唐突にそれを奪われた葛城と、性的虐待を繰り返していた父親の幻覚に怯えるポン中のモニカ。どうしようもない位ダメダメな二人のいじらしくプラトニックな(劇中ではキスすらしない)関係はとても純粋で美しい。特に電車内でのシーンで父親の幻覚に怯えるモニカをなだめるためにイヤホンを分け合って音楽を聞くシーンは常時ハイテンションな劇中の中でワンポイント的に穏やかでとても印象に残りました(ブリーフ一丁で踊る山中アラタさんのシュールさも含めてね)

 

 出てくる人物みな魅力的なんですけれども特に印象に残るのが二人。下っ端ヤクザであり今回の物語の発端ともなる「加瀬」を演じる染谷将太、ヤクの売人の彼氏を殺され犯人への復習を誓う「ジュリ」を演じるベッキーの両名です。

加瀬は最初こそ策士キャラかと思いきや割と序盤からヘマをやらかしまくってて、それを取り繕うとしてまた失敗するダメさ加減がツボでした。焼肉屋で網から肉を菜箸でそのまま食べるお行儀の悪さとか、計画がバレた同僚を感電させ「あーしまったなぁ…」ってやれやれ顔で淡々と轢き殺すところとか序盤から細かな所作で人物像を描いていく手法、そしてそれを実現する染谷将太の演技力に完敗。終盤にかけてのラリった演技はキレッキレで序盤の印象とはまた一味違うヤベーやつ感で2度美味しい。

 加瀬が「変化」を見せてくれたのだとしたらジュリは最初からアクセル全開でこちらも怪演と言っていい。序盤に彼氏を殺した犯人が分かって以降は常時キレ芸で瞳孔が開きっぱなし。下半身半裸+血まみれドロドロでバールを引きずりながら車に近づいてくるシーンなんてほとんどホラーでしたね。

 

露悪的なくらいのバイオレンスの中でこそ鈍く光る「生」を見せてもらいました。